ぎゅっと抱き締めて、そっとキスをして
悔しさ紛れ、切なさがこぼれ出る。

「関係なくないよ」
「シスコンじゃん」
「でも花梨は妹じゃないから」
「なにそれ」
「そのままの意味だよ」

軽い言い合いは、少しずつ苛立ちを呼び寄せる。

「少なくとも、今日の合コンに関しては、俺は関係あるよ。竹山が花梨を気に入って合コン開く、て小耳にはさんだから参加することにしたんだし」

……なにそれ、初耳だけど!
訝しげに覗きこむ。




「なんかさ、ずっとこのままでも良かったのかもしんないけど。少なくとも俺は、態度にしてきたつもりなんだけど」

稔兄ちゃんの言っていることの意味を考える。
行き着くのは、さっきの合コンでのやりとり。

「花梨の態度も、そうだったって思ってるんだけど。そろそろイイ年になるしさ。この関係を崩すのも、良いのかもしれないと思うんだ」

そう言って、スッと真剣な瞳を向ける。


「ねぇ、花梨。本心の言葉なら、受け取ってくれるんでしょ?」

その言葉と共に、手をとられ、向かい合わせにさせられる。






「好きだよ、ずっと。花梨のことが」

持っていた缶コーヒーを落としてしまったけれど、そんなことはどうでもよくて。
頭が真っ白だ。
周りは静かだし、私の鼓動だけがうるさいくらいに頭に響いてる。


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