ぎゅっと抱き締めて、そっとキスをして
「今年も、くれないの?」

かぁって、頬っぺたが熱くなる。
ずっとずっと、気づいてないんだと思ってた。


「なん、で!だって!梨花子さんはっ……!」
「毎年、盛大に“義理”チョコをくれてただけだよ」
「……違うでしょう?梨花子さんにとっては、それは、“本命”チョコでしょう?」


言いながら、涙がぼろぼろと溢れ出る。
あのときのチョコ見たいに、きっと今の私の顔ときたら不細工なんだろう。

「初めの年に、ちゃんと断ってるし」

なんてこと!
そんなことってあるの?
私がチョコを渡したあとで、すれ違いざまに『あなたが花梨ちゃん?これからよろしくね?』って言われたアレは、なんだったの?!




「稔兄ちゃん……。今まで、お付き合いの経験は?」
「そうだね、ないかな」

ジーザス!てのは、きっとこんなときに使う言葉?





「だから、花梨。いい加減僕と付き合ってほしいんだけど」


< 22 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop