ぎゅっと抱き締めて、そっとキスをして
流れる景色でどこに行くのかわかる私はもう、緊張するしかない。
今さっき心配していたことが、まさかの、今日なわけですか?

頭は大混乱。
している間に、優しくベッドへと下ろされた。




「本当に嫌なら、しないから」

愛しそうに私を見つめて、それを言うのはずるいと思う。






「稔くんは、今まで彼女は居なかったんでしょ?」

こんな話を、今ここでするのは、どことなく気まずいけれど。
だけど、だけどね。

「でも、こう言うことには……慣れて、るんだね……?」

さっきのキスで思い知った。
私の浅い経験を軽く飛び越えるような感覚。



「花梨……」
「嫌、な、わけではないの。ただ、気持ちがついていかなかっただけ」

自分の事を棚にあげてよく言うと、自分でもそう思う。



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