ぎゅっと抱き締めて、そっとキスをして
2月11日。
建国記念日である、祝日の今日は、毎年の如くチョコ作りの日。
10年続いてきた恒例行事だけど、いつもと違うのは……これが、稔兄ちゃんへの最後の“本命”チョコだってこと。
材料を計量しながら、これまでのことを振り返る。
最初の年は、不細工なチョコを手渡して、恥ずかしくて「これあげる」って言って、返事も聞かずに逃げ出した。
その帰りに、初めて梨花子さんとすれ違って、言われたんだ。
「待って、あなたが花梨ちゃん?」
見ず知らずの“お姉さん”に、名前を呼ばれたものだから、思わず立ち止まって頷いてしまったんだ。
「そう。いつも稔がお世話になってるんですって?きっとこれからも会うことになるわね、私たち。……これからよろしくね?」
その言葉で、色んなことを察してしまったんだ。
きっとこの人は、稔兄ちゃんのことが好きで、少なくとも稔兄ちゃんはこの人のことを邪険には扱ってなくて。
綺麗なその人に告白されて嬉しくない人なんてきっといなくて。
てことは、やっぱり、付き合うことになって……。
ああそうか、そうなのね、って。
ペコリと頭を下げて、その場を立ち去った。
去り際に見えた、ピンク色のかわいい袋は私もかわいいなって思って見てたものだった。
建国記念日である、祝日の今日は、毎年の如くチョコ作りの日。
10年続いてきた恒例行事だけど、いつもと違うのは……これが、稔兄ちゃんへの最後の“本命”チョコだってこと。
材料を計量しながら、これまでのことを振り返る。
最初の年は、不細工なチョコを手渡して、恥ずかしくて「これあげる」って言って、返事も聞かずに逃げ出した。
その帰りに、初めて梨花子さんとすれ違って、言われたんだ。
「待って、あなたが花梨ちゃん?」
見ず知らずの“お姉さん”に、名前を呼ばれたものだから、思わず立ち止まって頷いてしまったんだ。
「そう。いつも稔がお世話になってるんですって?きっとこれからも会うことになるわね、私たち。……これからよろしくね?」
その言葉で、色んなことを察してしまったんだ。
きっとこの人は、稔兄ちゃんのことが好きで、少なくとも稔兄ちゃんはこの人のことを邪険には扱ってなくて。
綺麗なその人に告白されて嬉しくない人なんてきっといなくて。
てことは、やっぱり、付き合うことになって……。
ああそうか、そうなのね、って。
ペコリと頭を下げて、その場を立ち去った。
去り際に見えた、ピンク色のかわいい袋は私もかわいいなって思って見てたものだった。