Snow Noise
高校を卒業するまで、新潟の湯沢で育った私は大学進学の為に上京した。
臣君と知り合ったのは、アルバイト先。
大学にも慣れてきた頃だったし、仕送りだけじゃ正直厳しい。
憧れていたお洒落なカフェのスタッフ募集の広告を見つけると、私はすぐに飛びついた。
なのに、現実は厳しくて。
「…申し訳ありませんでした……」
いったい何度、頭を下げればいいんだろう。
謝っても、謝っても、終わらない叱責。
目を伏せた途端、溢れそうになる涙。
泣いたらまた何を言われるかわからない。
瞬きもせずぎゅっと唇を噛みしめて、
「今後はもっと気をつけます」
さっきから何度も同じ言葉を繰り返している。
そんな態度にむかついたのか
「あのねえ、―――!!」
バイトリーダーの関さんは勢いよく立ち上がると上から私を見下ろした。
「まあまあ、落ち着けよ。
矢崎さんも気を付けてはいたんだし」
そうなの。
私だって、気を付けていたんだもん。
なのに、小さな子どもが私の前をすり抜けて……。