Snow Noise
言われるがままに、携帯の連絡先から男の子の名前を消した。

泣きながら謝られると、泣かせてしまった私が悪いんだって思ってた。

優しくて穏やかな普段の臣君が本物で、怒って暴力を振るう臣君は偽物だって。

どこでスイッチが切り替わるのかわからない。

でも、傷つきやすくて繊細な臣君を守ってあげられるのは私しかいないって思ってた。


こういうケースはデートDVというらしい。


既にもう、嫉妬も束縛も依存も、全部―――

愛されているからだという恋愛幻想によって、行きつく先がわからなくなってしまっていた。


そうだ、―――――。

今年のお正月は帰省なんてせずに、臣君とずっと一緒にいよう。

ずっと一緒にいたら、きっと臣君も安心してくれるはず。


今思えば浅はかな考えだったのかもしれない。

私は実家に電話をし、学校とアルバイトが忙しくて帰れない旨を母に伝えた。

寂しそうな声にチクリと胸が痛んだけれど、あの頃の私は臣君と一緒に過ごす方が最も重要で正しいことのように思えたんだ。

< 18 / 26 >

この作品をシェア

pagetop