Snow Noise
〈越後湯沢から浦佐駅間で発生した車両故障の影響で、上越新幹線は運転を見合わせていましたが、7時5分頃、約2時間ぶりに運転を再開しました〉
越後湯沢、―――。
璃奈の故郷だ。
いつか一緒に行こうね。
そんな約束も、果たしてやれなかったな。
このアナウンサーの声は、璃奈に似ている。
声が似てるってことは、骨格が似てるのかな。
雰囲気は全然違うのに、たまに璃奈が話してるような錯覚に陥るんだ。
恥ずかしくて璃奈には言えなかったけど、大学やバイトのシフトで璃奈に会えない日には、この放送局にチャンネルを合わせて寂しさを紛らせてたっけ。
「…なあ、―――」
遮光カーテンに遮られ、光すら届かないこの部屋で。
「返事、してくれよ……」
そばに璃奈がいるような気がして、俺は独り言ち泣きそうになった。
「ずっと俺のそばにいてくれるんだよな?」