花と死(後編)
クラウジアとクラリスは攻撃態勢でいるままで、シエリアの様子を覗う。
「その世界では」
シエリアは後ろに居るメイフィスを見た。
「……誰も、寂しくないの?」
その問いに答えはいらないのだろう。
「貴方たちの世界ではみんな笑うの?」
それはシエリアの願いだと解っていてルシエルはわらう。
「そうだよ。」
ルシファーは興味がなさそうに黙っている。
「もし、そうなら……」
「シエン!」
「その為なら……」
「駄目だ。嘘に決まってる!」
クラウジアはシエリアの腕を掴む。
「……利用されたって構わないよ。」
静かに言う。
「だけど、」
そして、クラウジアの手を引き離す。
歩み寄り、ルシエルの目の前に立つ。
「私の大事なひとを傷付けるのなら、罪のないひとを殺めるのなら、私が貴方を裁く。」
「……へぇ。」
ルシエルとルシファーがシエリアを見る。
シエリアは動じずに真っ直ぐ二人を見ている。
その姿が懐かしい記憶と重なって、ヴォルフラムは目を見開く。
“Ich schicke den Himmel die Seele”
『さぁ、お逝きなさい。』
冥府へ誘う聖女がシエリアと重なった。
(まさか、な。)
朧げな記憶がフラッシュバックするのを否定した。
彼女は居ない。
解りきっているのだから。
「この世に生きるものはみんな罪深い。潔白なんてエゴでしかないんだよ。」
ルシエルは笑った。
三日月の口が言葉を放つ。
「罪あるものは死すべきだ。」
ルシファーは煙草に火をつける。
そして、煙を吐く。
「客人の前では吸わないのっていつも言ってるでしょ!」
「煩い奴だ。」
ルシエルに不満そうにして吸殻を投げる。
“黎明の子、明けの明星よ、あなたは天から落ちてしまった。もろもろの国を倒した者よ、あなたは切られて地に倒れてしまった”
言霊を放つと、吸殻は灰となり、灰はグリフォンに変化した。
「罪人の器か。」
ヴォルフラムは言う。
「如何にも。」
ルシファーは目を細める。
「“器”?」
エリミアが不思議そうにする。
「嘗て、我ら罪人は9人。神を含めた10人で天空宮を治めていた。その力を分け与えられた人間。それが器だ。」
「今は“生の罪人”が魂の輪廻から外されたと神から告げられてるけどね。」
ルシファーとルシエルはヴォルフラムを見た。
「我らは二人で一つの罪人。」
「生まれる前から決められた役目。」
「その世界では」
シエリアは後ろに居るメイフィスを見た。
「……誰も、寂しくないの?」
その問いに答えはいらないのだろう。
「貴方たちの世界ではみんな笑うの?」
それはシエリアの願いだと解っていてルシエルはわらう。
「そうだよ。」
ルシファーは興味がなさそうに黙っている。
「もし、そうなら……」
「シエン!」
「その為なら……」
「駄目だ。嘘に決まってる!」
クラウジアはシエリアの腕を掴む。
「……利用されたって構わないよ。」
静かに言う。
「だけど、」
そして、クラウジアの手を引き離す。
歩み寄り、ルシエルの目の前に立つ。
「私の大事なひとを傷付けるのなら、罪のないひとを殺めるのなら、私が貴方を裁く。」
「……へぇ。」
ルシエルとルシファーがシエリアを見る。
シエリアは動じずに真っ直ぐ二人を見ている。
その姿が懐かしい記憶と重なって、ヴォルフラムは目を見開く。
“Ich schicke den Himmel die Seele”
『さぁ、お逝きなさい。』
冥府へ誘う聖女がシエリアと重なった。
(まさか、な。)
朧げな記憶がフラッシュバックするのを否定した。
彼女は居ない。
解りきっているのだから。
「この世に生きるものはみんな罪深い。潔白なんてエゴでしかないんだよ。」
ルシエルは笑った。
三日月の口が言葉を放つ。
「罪あるものは死すべきだ。」
ルシファーは煙草に火をつける。
そして、煙を吐く。
「客人の前では吸わないのっていつも言ってるでしょ!」
「煩い奴だ。」
ルシエルに不満そうにして吸殻を投げる。
“黎明の子、明けの明星よ、あなたは天から落ちてしまった。もろもろの国を倒した者よ、あなたは切られて地に倒れてしまった”
言霊を放つと、吸殻は灰となり、灰はグリフォンに変化した。
「罪人の器か。」
ヴォルフラムは言う。
「如何にも。」
ルシファーは目を細める。
「“器”?」
エリミアが不思議そうにする。
「嘗て、我ら罪人は9人。神を含めた10人で天空宮を治めていた。その力を分け与えられた人間。それが器だ。」
「今は“生の罪人”が魂の輪廻から外されたと神から告げられてるけどね。」
ルシファーとルシエルはヴォルフラムを見た。
「我らは二人で一つの罪人。」
「生まれる前から決められた役目。」