美しき月を背に
魔界に戻っても人間界に留まっても、退屈だ。
『死んだ方が楽しいのかもしれない』
長い長い永遠を生きなければならないヴァンパイアはそう考えたそうだ。
そうして魔界では一時期殺し合いが頻繁に起こっていた。それがいつしか戦争に繋がった。
戦争が起きようともヴァンパイアは幸か不幸か、なかなか死ぬに死ぬことができない身体だった。
だからいつしか死ぬことも諦め、怠惰に日々を送り、刺激を探し求めて生きている。
もしも、運良く死ぬことが出来たならそれはとても幸せなことなのだ。
終わらせて欲しい、だからといってただ殺されるのはつまらない。
ヴァンパイアはとことんめんどくさい性格をしている一族だ。