美しき月を背に


「私…貴方と、どこかで会ったことありましたか?」

「そんなの関係ないだろ、いいから…悪いようにはしない」

「貴方と話してる暇はないんです」

「ふん、彼氏と待ち合わせ…ってか?」

「貴方には関係ありません」

はぁ…、しつこい男。
どうして男ってめんどくさいのかな。

「チッ…、テメェ!」

ガシッ

「…これで、動けないだろ?」

バカな男、手を拘束しただけで優位にたったと思ってるなんて。

「…なんだよ、急にしおらしくなりやがって。やっと俺についてくる気になったのか?」

「ふふっ」

「な、なんだ。一人で笑いやがって気色わりぃな」

ドスッ

「グッ…ぅ…」

ドサッ

「さて、帰ろっと」

今日は早く帰ろうと思ってたのに、…やっぱり路地裏通って近道はダメだな。
そんな感じのことわざだっけ?あったかも、この国に。


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