天翔ける君



名前と同じ山吹色の髪はさらさらで、爽やかな笑顔とよく合う。
きらきらと輝く金色の瞳は山吹の整った顔立ちに花を添えている。

背は高いし、欠点なんて見つからない。
人間界ではきっと出会うことのない色彩の男だ。

恵都は自分でも顔が熱くなるのが分かった。
きっと真っ赤で、口を半開きにした間抜けな顔をしているに違いない。

ふふ、と山吹が穏やかに笑う。

「そういうところも可愛いと思っちゃうんだよねぇ」

と、恵都の頭を撫でながら。

どうしようどうしようとと、恵都の思考が駆け巡る。

なにか気の利いたことが言えればいいのに、恵都はなにも思いつかない。

ありがとうと、簡単に言ってはいけないような気がする。
それはもっときちんと向き合った末の言葉に思える。

「さぁ、もうごはんできるから、千鬼を起こしてきて」

「……うん」

山吹は何事もなかったかのように、料理の仕上げに取り掛かった。
恵都はそれに引きつった笑顔で答える。

助かった、と思いながら、恵都は千鬼の私室へ向かった。



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