恋するキオク
「圭吾くんかぁ……」
どうしてあんな感じなのかな、どうして省吾とも仲が悪そうなんだろう。
私にはたぶん関係ないことなんだけど、なぜか家に帰ってからも圭吾のことが気になってた。
目を閉じれば、不思議とあの時の曲が聞こえてきて。
あそこに行けば、また聞けるのかなって。
ううん、それより学校にはこのまま出て来ないつもりなのかな。
一年生の時から見かけたこともなかったけど、それは私が圭吾とは別世界にいたからで。
それなりに派手な子たちの間では、結構知られてたのかなとか……
でもそんなことばかり考えてる自分が、なんとなくおかしくて。
周りの人とは少し違って、どうしても興味が出てしまうような外見だったから、ちょっと気になっただけだと思うけど。
それにどことなく省吾に似た部分があったから、変に印象に残ってしまっただけで。
きっと、それだけのことなんだ。