恋するキオク
浮いた存在
次の週の月曜日。
朝礼後のステージには、生徒会長である省吾の姿があった。
来月に控えた創立記念のイベントについて、いろいろ話があるみたい。
「―――というわけで、各クラスでの出し物の詳細は今月中に生徒会まで報告してください。予算等については本日中に書面でクラスへ配付します」
うん、相変わらずしっかりしてる。
生徒会長って言葉が、きっと誰よりも似合う人だと思うんだよね。
毎度のことながら、私はそんな省吾に見とれていた。
「ちょっとー、垂れ過ぎて目がなくなってますけどぉ?」
「えっ!もう、春乃!」
隣のクラスの列から春乃が背中を突ついてくる。
まさかステージから注意されることはないと思うけど、また省吾に見つかるじゃん。
「いつも一番近くで眺めてるくせに、こんな時まで見とれてんの?まぁわからないでもないけどさ。それより陽奈のクラスって出し物決まってる?」
「ううん、今日の生活科の時間に話があると思うんだけど」
「うちも今日決めるんだけど、なるべく面倒なことはやめてほしいよねぇ」
顔をしかめる春乃に、私は小さく笑って前に向き直した。
クラスの出し物か。
去年は手作りのゲームコーナーみたいなことをやったんだっけ。
男の子が中心に動いてたし、今年は何をすることになるのかな。
ステージを下りる省吾を目で追いながら、私はぼんやりと考えていた。
当日くらい顔出すのかな
……圭吾くん。