恋するキオク
朝礼が終わって、すれ違う人を避けながら、自分の教室に向かう。
廊下側の窓からは、爽やかな太陽の光が差し込んでいた。
「今日もいい天気だぁ……」
ぼーっと空を見れば、勝手に浮かべてしまう省吾の姿。
すらっと背が高くて、いつも前髪がなびいていて。
たしかに隣で眺められることは幸せなんだけど、遠くから何かに一生懸命になってる省吾を見るのも好きなんだ。
自分のためだけじゃなくて、みんなのためにって頑張ってる様子とか。
クスッ…大好き。
私はまたさっきの省吾を思い出して、胸に響いてくる鼓動を心地よく感じていた。
付き合ってずいぶん経つのに、この感覚にだけはいつでも酔えてしまう。
「あれっ?……なんだろ」
二階の突きあたりは私の教室。
そこにざわつく人混みが見えたから、私も何だろうと思って教室を覗き込んだ。
肩の間から見えたのはいつもの景色。
ただ、周りにいるみんなの様子が少し違ってて……
「あ…、圭吾くん……?」