恋するキオク
まだ海外での用事が残ってるからと言う相澤さんに見送られ、オレは再び日本への飛行機に乗り込んだ。
出発したのは夜だったけど、考えることが多すぎて、疲れてるはずの体も眠気を誘わなかった。
「野崎、記憶がないって何だよ…」
到着までの約1日が、経験したこともないくらいに長く感じる。
野崎はどうなってるのか。
省吾は何か関係があるのか。
不安ばかりが膨らんで。
はぁーっ……
でもオレは、野崎を信じるって決めてたから。
「…大丈夫だよな」
とにかくすぐに会えればいい。
その時は、そう思ってたんだ。
早く、早く……
ただ会いたいって。
上空から見える雲の上の星空。
「圭吾」そう呼ぶ声と
「なに?」そう振り返る笑顔が
何度も脳裏を通りすぎて行った。