恋するキオク
* * * * *
押し倒された夕暮れの教室。
背中に感じる机の冷たさが、ツンと胸の奥までしみ込んで
見上げた場所にある茶色い髪は、陽に透けた眩しい光を目の前に溢れさせていた。
「止めないのかよ」
そう言って見つめてくる瞳。
切ない声と、強く押し付けられながらも優しく握られる手の平。
放課後の静けさは、どこか気持ちを大胆にさせた。
「止めないよ……だって私圭吾が好きだもん」
鼓動で揺れる耳元のピアスに目を奪われれば、吸い込まれるようにキスの感触が広がる。
間違えたのは私たちじゃない。
全部、神様が悪いんだから。
* * * * *