恋するキオク
「野崎…?」
「私の携帯に米倉くんの番号が入ってるってことは、やっぱり私と米倉くんは繋がってたってことだよね?知らない同士なんかじゃ…、ただのクラスメイトなんかじゃなかったってことなんだよね?」
「…そうだな」
何があったのかは分からない。
それにそんなこと、今さら確かめることでもないだろ。
でも声を聞いてるだけで、じわじわと胸はいっぱいになる。
切ないってだけじゃ、言葉では表せないくらい。
「米倉くん…」
「なに…」
先に続く言葉が気になって。
勝手に想像して、でも臆病な気持ちがそれを無理に消そうとして。
本当は、怖くて仕方なかった。
「早く言えよ…」
「あの…、20日なんだけど」
「それなら別にいいから。オレは待ってるだけだし、来たくなければ野崎の好きなように…」
「違うよっ。そんなの、行きたいに決まってる……でも」
戸惑うように口ごもる。
省吾に何か言われたのか。
また変な奴らに何かされたのか。
いろいろ考えたけど、でも野崎の答えはどれもオレの想像とは違ってた。
「私……、私に行ける資格なんてなかった」
「は?なにが」
震える声が、何度も呼吸を乱す。
届かない手、感じられない体温。
耳を疑うような言葉が、オレの中の時間を止めた。
「だから私…、私ね……」
……ーーー。