恋するキオク
願いと現実
―――陽奈side―――
時間て、なんだろう。
タイミングって、なんだろう。
人を好きになるという感情を、私は最近よく考えるようになった。
長い時間をかけた恋にも、時には終わりがあって。
ほんの短い時間でも、深く繋がる想いもある。
相手を想う心は、きっと「好き」と「嫌い」だけじゃ分けられない。
とても大切で、もちろん傷をつけることなんてしたくなくて。
…離れる?
離れられない?
一緒にいたことが必然で、出逢ってしまったことが偶然でも
あやふやなままで進めるなら、ずるいとわかっていても、そこを選んでしまいそうになる弱さが私にはあったんだ。
でも…、もう決めなきゃいけないから。
失くした記憶のせいにして、ずっと避けてきた想いの答え。
過去の出来事は忘れても、消えなかった惹かれる気持ち。
今がゼロのスタートでも、そこには比べられるものなんてないくらいの、深い恋の記憶があったから。
「米倉くん…」
切ない視線も、小さなため息も
すべてが私の心を揺らす。
聴き続けたい声。
見つめていたい瞳。
神様…、
どうか願いが叶うなら
私を少しでも、彼の近くに…