恋するキオク



どうすれば楽になれる?

どうすれば心からの演奏を楽しめる?

オレはいつも答えを探してた。

だから…



野崎を傷つければ、省吾が悲しんで。

それを今までの仕返しにしたら、もしかしたらスッキリできるんじゃないかとも考えてた。




「あのさ、たぶん省吾のことだからオレとは関わるなとか言われてるはずなんだけど」

「えっ……」



でも野崎を前にすると、どこかで感情が狂いだして。



「さっさと帰ったほうがいいんじゃない。静かなとこだけど安全だとも言えないし」

「……圭吾くん」



悲しい顔されるたびに、オレの方が切なさで胸が苦しくなるのが腹立たしくて。



「……送ってく、どうせオレが原因だろ」


「圭吾くん、それは違うから!私が…私がダメなだけなんだよ」



今さらながら気付かされる想いに、一層孤独を感じてたんだ。



「そんなことどうでもいいんだよ!
送るって言ってんだから、お前は道を教えればいいんだよ。……だから、もう泣くな」


「……うん」





そよ風に舞った木の葉が、二人の間を通り過ぎる。

震える唇を噛み締めながら天を仰いだ。




なんで戻って来たのかな、オレ。

オレの居場所なんて、もう変わるわけもないのに……




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