恋するキオク
創立記念
〜只今より、第35回円城学園創立記念、円城祭を開催したいと思います。
はじめに理事長先生のお話です―――〜
イベント当日の空は、昨日の空を思わせないくらいの快晴で。
省吾の心配していたアーケードも、雨に濡れることもなくその大きな姿を正門の前に現していた。
「陽奈〜っ、今日は劇楽しみにしてるよぉ!はりきって頑張ってね」
「春乃!プレッシャーかけないでよ。春乃だってオープンカフェで超ミニのスカートとか着るんでしょ?」
「私はもうばっちりよ。フェロモンばんばん巻散らすつもりだから」
「もう、何言ってんだか〜」
にぎわう会場の入り口で、突然私に抱きついてきた春乃。
お互いクラスの準備で忙しかったから、こうやって春乃と話せるのも久しぶりみたい。
やっぱりずっと仲良くやってきたから、少し時間が経てば、気まずかった雰囲気もどこかへいっちゃうよね。
「私も見に行くんだから、陽奈もうちのクラスの店ちゃんと来てよね」
「うん、もちろん」
「あ、省吾先輩も一緒にね!」
「え……、うん…」
「ひゃぁ〜っ!省吾先輩に見られるとなんか照れるかも〜っ」
省吾…
今日はずっと生徒会室かな。
イベントが終わったら、二人で出かけるはずだった約束。
ちゃんと言わなきゃ。
ちゃんと……
私は黙って校舎の窓を眺めた。