梅咲く季節
ドキドキしてる私の頭の上から、現実を突きつける言葉が降ってきた。

「でさ、その箱は何だったわけ?」

陽希はニヤッと口元をあげながら、こちらを見ている。

「いや、えーっと、その」

「まぁいいや、帰るぞ」

「えっ、ちょっと待って」


私は陽希の背中を追いかけた。



「ねぇ」

「何だよ?」

「これ…東京土産」

私が差し出したのは、学問の神様のお守りだ。
本当はチョコもあったはずなのに。


「おお、サンキュ」

受け取ったお守りを見て、一瞬少し照れくさそうに笑った陽希。

不覚にもまたドキドキする。




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