あの日の教室、1人の少女、机と椅子と黒板と。~5人の少女の物語。~
教室に戻って黒板を消し始める。

今日は6限が高3以外は必修になっているクラブなので、

掃除は昼休みに簡単に済ませればよいことになっているのだ。

「ヤバいね、4組」

あの後でいちごみるく味のキャンデーを口に入れた杏奈が言う。

ほのかなフルーツとミルクの匂い。

「とりあえず今日はあの子誘って帰ろうか、

部活サボって。

確か土曜日らしいし、あの子」

「「「賛成」」」

乃愛、千鶴子、杏奈の3人がハモる。

「でも、私以外のこと知らないから、誘うのは私だけにして、

あとで合流ね。」

「新校舎の校門に隠れとくね」

と千鶴子。

私たち中1と中2は旧校舎、

中3以上は新校舎だから、上手く隠れられる。

あと、ついでにオンボロ校舎という通称を持つ本館とかいう名前だけかっこいい校舎もある。

とりあえず待ち合わせだけして、

みんな掃除に戻った。
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