あの日の教室、1人の少女、机と椅子と黒板と。~5人の少女の物語。~
「だから、僕は夏でも半袖を着ない。

絶対に」

「……私も」

驚いた顔で誠が見つめる。

「たぶん、全然違うけど」

そう言って私は右腕をまくる。

「小学校で、

この傷痕でいじめられたから」

「莉菜、だったな」

誠に確かめられる。

私はこっくり頷いた。

「同じだよ、みんな」

私は言った。

「コンプレックスなんて誰にでもあるけど、

みんなそれが嫌であんなことする。

自分より弱い奴を見つけて、楽しんでる。

たぶん、それだけ」
< 83 / 125 >

この作品をシェア

pagetop