氷狼ーこんな世界でもきっとー
六章ー再びー
(早く・・・・早く・・・・!)

甘和を抱えながら俺は覇気山を登っていった
息が上手くできなくても脚が震えていても、
今はそんなの関係なかった。早く甘和を助ける。
それしかもう頭になかった。頼む。間に合ってくれ-


甘和「氷河!遊ぼ!」

氷河「今日も何か見つける気か?」

甘和「うん!覇気山まで競争ね!」

氷河「あ!待てよー!」

覇気山は俺達の家の近所にある大きな山だった。
そして甘和は昔から覇気山に行くと不思議なものを
持って帰ってきたり見つけたりした。ある時は地図に
載っていない大きな滝。ある時は何もない動物の住処。
そうして毎日いろんなものを見つけて、ただただ
『ぉぉぉぉ・・・!』と感動し見ていた。新しいものを
見つける喜びに胸を踊らせ毎日覇気山に遊びに行った。
そして6歳のときには山の中でまた不思議なものを
帰り際見つけ出した。「ねぇねぇ」と俺の袖を引っ張って

甘和「氷河!見てみて!何か光ってるよ!」

氷河「・・・え?あ。本当だ。気づかなかった」

人が1人入るくらいの小さな泉を見つけた。
その泉はとても綺麗で澄んでいてけれど、
どこか妖しげな光を放っていて、幼い俺達は
そのまま好奇心に従った。

甘和「綺麗な水・・・!ねぇ氷河!触ってみようよ!」

氷河「大丈夫かなぁ?」

甘和「大丈夫だって!」

2人で泉に手を入れた時、甘和の体だけが光った。

(やっぱり大丈夫じゃないじゃんか!甘和の馬鹿!)

甘和「わぁ…!!」

感心の声をあげる甘和を俺はどうすることも出来ず
ただ見ていただけだった。

氷河「大丈夫?」

甘和「・・・あれ?」

氷河「?どうしたの?」

甘和「声が・・・少なくなった・・・?」

氷河「えっ?」

それって・・・

氷河・甘和『力がなくなった!?』

甘和「や・・・」

甘和「やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

いきなり甘和が立ち上がり感激の叫びをあげた


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