Ri.Night Ⅰ 【全完結】
9. 悪夢のはじまり
────…
「おっはよー!」
「うぉ、何だよ東條かよ!」
「びっくりさせんなよな~」
「いやいやいや、こっちの方がビックリだし」
そりゃ教室全体に響き渡るぐらい大きな声で挨拶したけどさ。
そんな事ぐらいで驚かれるなんて思ってもなかったし。
人様の顔を見るなり安堵の溜め息を吐き出したクラスメート達に冷やかな視線を送る。
「……あー、」
成る程。そういう事だったのね。
通り過ぎるついでにチラリと彼等の手元を覗き込んでみると、机の上には散乱したトランプと百円玉が数枚置かれていた。
どうやらトランプで賭け事をしていたらしい。
そりゃさっきの反応でもおかしくないか。先生にバレたら一大事だもんね。
何やってんだか、と呆れ混じりに溜め息を吐き出して、再び自席に向けて歩き出す。
「凛音ちゃんおはよう!」
あたしに気付き、笑顔で手を振ってくれる妃奈。
その笑顔が堪らなく可愛いくて、
「妃奈おはよっ!」
席に着くなり妃奈に抱きついた。