Ri.Night Ⅰ 【全完結】
実はこの公園、車道に挟まれていて、左右どちらにも出入口がある。
その両側の出入口から今、数十台にも及ぶバイク達が続々と公園に入ってきていた。
「何、これ…?」
口からポツリと零れ落ちる疑問の言葉。
突然の出来事に頭が全くついていかない。
「……チッ」
途切れることなく公園内に入ってくるバイク達を呆然と眺めていると、失礼男から本日二度目となる舌打ちが聞こえた。
「十夜はこうなるのを知ってたから出ていけって言ったんだよ。まぁ、遅かったみたいだけどな」
「………」
いやいやいや。遅かったじゃないでしょ。どうすんのよコレ。
「お前、何処にも行くなよ?それと、右の入り口から入って来た奴等はこっち側の人間だ」
「は!?こっち側の人間って何!?っていうか、今から何すんの!?まさか喧嘩とか言わないよね!?」
「おっ、正解。そのまさかだよ。ホラ、巻き込まれたくなきゃ隠れてろ」
爆笑男はそう言うと、足早に近付いて来てあたしの腕を思いっきり引き寄せた。
「ちょ……!」
突然引っぱられたあたしはバランスを崩し、前へと倒れていく。
「おっと」
それを爆笑男が身体で受け止めてくれた。
──瞬間、シトラスの香りがふわりと鼻先を掠めて、その香りにドクンと小さく胸が高鳴る。