Ri.Night Ⅰ 【全完結】
「俺もいるんだけど」
「優音っ!!」
貴兄を押し退けてピョコンと姿を見せたのはあたしの片割れ、優音。
「ゆう!貴兄!今開けるから上がってきて!!」
二人の登場にテンションMAXのあたしは解錠ボタンを押して玄関にダッシュする。
靴に爪先を突っ込みながら二つある鍵を開け、勢いよく外に飛び出した。
向かうは二人が乗っているエレベーター。
「優音!貴兄久し振り!!」
少し離れたエレベーターに着くと、ちょうど二人も到着した所で。
「うぉ!……お前、すぐ抱きつくそのクセ直せって言ってるだろ?」
扉が開くなり抱きついたあたしに貴兄が呆れたように笑みを零した。
「だって久し振りなんだもん!」
文句を言いながらもあたしを優しく抱き上げてくれる貴兄をギュッと強く抱き締めると、
「凛音、そんな格好で外出るなよ」
隣から叱咤の声が。
「ゆう~!久し振りっ!元気にしてた!?」
「……お前、人の話聞いてねぇだろ」
貴兄に抱っこされたまま優音の首に両腕を巻きつければ、優音から呆れた声が放たれて。
けど、そんな事気にしない。
だって、二人に会えて嬉しいんだもん。
「凛音、とりあえず家に入ろうぜ。近所迷惑になる」
「あ、そうだね。家行こっか」
そう言うと、貴兄はあたしを抱きかかえたまま歩き出した。