Ri.Night Ⅰ 【全完結】
「で、二人共突然どうしたの?」
台所で珈琲を入れながら、ソファーに腰掛けている二人に問いかける。
来るなら連絡してくれたら良かったのに。
「別にどうもしねぇよ?凛音に逢いたいから来ただけ」
肩越しに振り返った貴兄がニッと笑って、「な?」と隣に座る優音に同意を求める。
「えっ、そうなの?獅鷹は?二人が抜けて大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。嵐(ラン)さん達いるし」
「あ、みんないるんだ。じゃあ大丈夫だね」
優音の言う嵐さんって言うのは獅鷹幹部の一人、嵐ちゃんのことで。
総長が貴兄で、副総長が慧くん。
嵐ちゃん、時人(トキト)くん、遊大(ユウダイ)、優音の四人が幹部だ。
あたしを含めた幹部達六人は小さい頃からの幼馴染みで、時々倉庫に遊びに行ったりしてた。
「みんな凛音と会いたがってたぞ」
「えー、だったらみんなで来てくれたら良かったのに」
あたしも久し振りにみんなに会いたい。
「何も無かったら連れて来ようと思ったんだけどな。ちょっと今立て込んでて」
「え、何かあったの?」
「まぁ、ちょっと、な」
「……ふーん」
なによ。貴兄まで秘密にしちゃってさ。
いいもん。あたしには関係ないし!
「凛音、学校どうだ?楽しいか?」
「学校?うん、すっごく楽しいよ!妃奈っていうめっちゃ可愛い子と友達になってね、今度家に連れて行くからおもてなしよろしく!」
「ハイハイ。いつでもどうぞ」
「わーい。貴兄ありがと。大好きっ」
テーブルの上にコップを置いて、ぴょんっと貴兄の膝の上に飛び乗る。