Ri.Night Ⅰ 【全完結】
11.手紙
────…
学校行きたくないなぁ……。
パタン、と玄関を閉めて、溜め息を零す。
……はぁ。学校に行くの憂鬱なんだけど。
そんなあたしの気分とは裏腹に、目の前に広がっている空は雲一つない快晴で。
ますます気分が低下していく。
気分が乗らない理由は至極簡単。
昨日の事があるから。
──あれから、あたしは追いかけてくる煌を見事撒いて逃げる事が出来た。
撒く為に遠回りしたせいで貴兄には「遅い!」とこっぴどく怒られたけど、そんなもの鳳皇と関わってる事がバレるよりよっぽどマシな訳で。
その後、家に帰ってからは三人でゲームして、二人は日にちが変わらない内に帰っていった。
帰り際にはご丁寧に「絶対に鳳皇と関わるんじゃねぇぞ」という一言を残して。
そんなに関わるなって言われたら、逆にどんな人達なのか興味が出てきてしまいますよ、お兄様。
……まぁ、もう関わってしまってるからその心配はないけどね。
「凛音ちゃん、おはよう」
「あ、おはようおじさん!」
「いってらっしゃい。気をつけて行くんだよ?」
「はーい!ありがとう!」
玄関ホールを掃除している管理人のおじさんに「いってきます」と手を振って、マンションを出る。
おじさんに会ってちょっと元気になったかも。
と、そう思った時。
……おじさん、早速危ない目に遭いそうです。
目に飛び込んできた黒塗りの車に死期を悟った。