Ri.Night Ⅰ 【全完結】
「……っ」
何って……。
何で十夜がその事を知ってるの……?
無理矢理消したさっきの光景が脳裏に浮かび上がってきて、自然と視線が降下していく。
「凛音」
「……っ、やっ!!」
拘束が解けたと思ったら、十夜の右手があたしの首へと伸びてきて。
それはまるで“ソコ”に何があるのか知っているようだった。
「やだっ、十夜……!」
頭を左右に振って逃れようとするけれど、そんなもの無駄な抵抗で。
「や……っ、」
髪の毛が払い退けられて、中田につけられた“痕”が露になる。
「……チッ」
一瞬の沈黙の後に響いた舌打ち。
それにビクッと肩が揺れ動く。
「ば、馬鹿だよね~こんなの付けられて。手足拘束されてなかったら前みたいに急所に一発食らわせてやれたのになー」
──気付けば、あたしは笑いながらそんな事をツラツラと並べていた。
「もっと抵抗すれば良かったー」
平静を装ってアハハと笑うけれど、言葉を出せば出す程さっきの光景が思い出されて。
「……っ、」
──もう、笑っているのが限界だった。
悔しさで唇が震える。
「──馬鹿が。無理して笑ってんじゃねぇよ」