Ri.Night Ⅰ 【全完結】
「あれ?」
──放課後。
いつもの様に妃奈と校門でバイバイして駐車場にいくと、そこには車の姿は無く。
“あの日”と同じ、駐車場の端っこにバイクが一台置いてあった。
バイクの向こう側から出てきたのは十夜で。
目が合った瞬間、心臓がドクンと音を立てた。
「……みんな、は?」
不自然に声が上擦って、視線が宙を彷徨う。
「傘下んとこ」
「……あ、そうなんだ」
“あの日”から、あたしと十夜は二人きりになっていない。
と言うよりも、あたしが二人きりになるのを避けていると言った方が正しいかもしれない。
極力二人きりにならないよう皆で行動して、前までよくしてた倉庫でのお泊まりもしなくなった。
かと言って、十夜を無視してる訳でもなく。
ただあたしが十夜と二人きりになるのを避けてるだけだけど。
……分かってる。
“アレ”に特別な意味なんてないって事ぐらい。
分かってる………けど。
「──ちゃんと掴まってろよ」
「……うん」
どうしても、意識してしまうんだ。