Ri.Night Ⅰ 【全完結】
────…
「凛音さん!」
「あ、千暁くんやっほー」
「やっほーじゃないですよ!びしょ濡れじゃないですか!」
「そうなの~。途中でめっちゃ雨降ってきちゃってー」
「バスタオル!バスタオル持ってきますね!」
「あ、ちょ、千暁くん……!」
……行っちゃった。
リビング行ったらすぐお風呂に入ろうと思ってたから別に良かったのに。
学校を出発してすぐの所で降り始めたどしゃぶりの雨。
どこかで停まって雨宿りをしようと思ったけど、ここまで濡れたら意味ないかということでそのまま倉庫へと帰ってきた。
あたしは後ろに乗ってたからまだマシだけど、まともに雨を受けた十夜は全身びしょ濡れで。
早くお風呂に入らないと風邪を引いてしまう。
「凛音さん、タオルです!」
「ありがと。千暁くん」
千暁くんからタオルを受け取って、バイバイと手を振る。
手に持っているのは二つのバスタオル。
一つはあたしので、もう一つは十夜のだろう。
そう言えば十夜は?
………と、居た。
いつの間にか階段の下に居た十夜は、あたしの方を見ながら頬を伝う雫を手の甲で拭っていた。
なんで先に行かないんだろ?
……って、あ、そっか。今日は煌が居ないんだ。
みんな出払っている事を思い出して、慌てて十夜の元へと駆け寄って行く。