Ri.Night Ⅰ 【全完結】
「………」
「………」
気まずい。気まず過ぎる。
無言で階段を上がるあたし達。
原因は自分だと分かっているから余計に気まずくて。
あぁもうホント、後悔先に立たずとは良く言ったものだと思う。
なんで手引っ込めちゃったんだろう。
別に嫌だった訳じゃないのに。
……ただ、いつもと違うからちょっとビックリしただけで。
そう。ただそれだけだったのに……。
チラリ、横目で十夜の様子を窺う。
十夜が後ろに回ってくれたのは、あたしが落ちた時の為。
落ちても受け止められるように。
これって、謝った方がいいよね?
でも、わざわざ手引っ込めてごめんって謝るの?
それもどうかと思うんだけど……。
……あー、もう!どうしたらいいの!?
どうすればいいのか分からないままリビングに入り、バスタオルで顔を隠しながらソファー付近をウロウロするあたし。
あ~気まずい。どうしよう。
「凛音、風呂行け」
一人でソワソワしていたら、後から来た十夜にそう言われた。
「あ、あたしより十夜の方がずぶ濡れだよ。先入って」
そう言うけれど、「いいから行け」と無理矢理洗面所に押し込まれて、渋々先に入る事にした。