Ri.Night Ⅰ 【全完結】


早く出なきゃ十夜が風邪引いちゃう。


そう思ったあたしは、素早くシャワーを浴びてお風呂から出た。


脱衣所にはあたし専用の収納ケースが置いてあって、その中からTシャツと短パン、下着を取り出して、素早く着替えて脱衣所から出た。




「……っ、」



なんで裸なの!?



ソファーに座っている十夜は何故か上半身裸で、肩にタオルを掛けていた。


いや、まぁ、あの格好のままだと寒いっていうのは分かるけどさ。とりあえず何か着たらいいのに。




「と、十夜、お風呂ありがとう。早く入ってきて」



そう声を掛ければ、「あぁ」と返事した十夜は肩からタオルを取り、ゆっくりと腰を上げた。



……あれ?


すれ違い様、視界に飛び込んできたのは脇腹にある一筋の傷跡。




「十夜、その傷どうしたの?」



そう何気なく問い掛けてみると、ピタッと歩みを止めた十夜。



「……喧嘩で怪我した」



一瞬の沈黙の後、それだけ言った十夜はまるでこの傷の事には触れるなとでも言うように早々とお風呂場へと消えていった。

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