Ri.Night Ⅰ 【全完結】
パタンと静かに閉まるドア。
それを確認した後、あたしは近くにあった三人掛けソファーに腰掛けた。
……あの傷、どうしたんだろう?
喧嘩でって言ってたけど、もしかして刺されたとか?
そんなに危ない喧嘩してるの?
そう思うと急にみんなの事が心配になって、ゴロンとソファーに寝転がった。
「あ?凛音だけか?」
ウトウトしてるとドアが開く音がして。
目を開けると靴を脱いでいる煌と目が合った。
「おかえりー。十夜は今お風呂ー」
「あぁ、風呂か」
いつもの様にドカッと偉そうにソファーへと座り、ダルそうに首を回す煌。
「……あぁ、そういや今日はバイクだったな」
「そうそう。途中で雨降ってきて災難だったよー」
肩に掛けていたタオルで髪の毛をゴシゴシ拭きながら溜め息を零すと、煌が呆れた表情であたしを見た。
「お前、早く髪の毛乾かせよ。風邪引くぞ」
「うーん、めんどい……」
「……ったく」
渋るあたしにわざとらしく溜め息を吐き出した煌は、ソファーから立ち上がってお風呂場へと消えた。
何をするんだろうと思っていたら、戻ってきた煌の手にはドライヤーが握られていて。
「ホラ、後ろ向け」、とあたしの隣に座って後ろを向くよう促してきた。