Ri.Night Ⅰ 【全完結】
「終了っと」
「ありがとー」
他愛ない会話をしながら髪の毛を乾かし終えた後、煌はドライヤーを片付けにお風呂場へ。
「端に寄れ」
「ちょ……」
お風呂場から戻って来たと思えば、グイグイと押されて無理矢理ソファーの端へと追いやられる。
「ちょ、煌!」
文句の一つでも言ってやろうと口を開いた時、突然、ゴロンと横になった煌の頭があたしの膝の上に乗ってきた。
ちょっ、これって膝枕!?
「煌!何すんの!?重い!」
「髪の毛乾かしたんだから膝ぐらい貸せよ」
ジタバタともがいて退かせようとするあたしに、ワザと頭に力を込めてくる煌。
いやいやいや、意味分かんないし!
「どーけーてー!」
どんなに退かそうとしても煌はビクともせず。
「はぁ……」
面倒臭くなってきて、早々に諦めた。
全く、膝枕なんか貴兄と優音以外した事ないんですけど。
「………」
「………」
なんだろう。何だか落ち着かない。
壱さんなら未だしも、相手は煌なのに意識してしまう自分がいて、何だか嫌だ。
取り敢えず話題だ、話題!
「あ、あー、あのさ。さっき十夜の脇腹に傷見つけたんだけどあれってどうしたの?」
咄嗟に出てきたのはさっきまで気になってた十夜の傷の事。
「あぁー、あれか」
あたしの問いかけに閉じられていた煌の目がゆっくりと開く。
かと思えば、煌の手がスッと伸びてきて。
「……っ、」
煌の指に、あたしの髪の毛がクルクルと巻き付けられていく。