Ri.Night Ⅰ 【全完結】
その仕種に不覚にも一瞬ときめいてしまったあたし。
……くそぅ。あたしこういうの弱いんだってば!
「──フッ」
「……っ」
動揺が見透かされたのか、ニヤリと妖艶に笑った煌が指に絡めていた髪の毛をクイッと引っ張ってきた。
「わっ!」
否応無しに前へと倒れていく身体。
前のめりになった上半身は中途半端な所で止まり、さらりと乾いたばかりの髪の毛が煌の頬に落ちる。
「……十夜の事、気になる?」
引き寄せられたかと思えば至近距離で小さく囁かれ。
あまりの近さにカァと顔が熱くなった。
「ちょ、離してよ!」
近いってば!!
煌の身体に手を付いて慌てて離れたけど、髪の毛が煌の指に絡まったままだったから中途半端な所で止まってしまい。
さっきよりマシになったものの、煌との距離はまだ近いまま。
「煌!髪の毛痛いから離して!」
羞恥を隠して必死にそう叫ぶけど、煌は飄々とした表情で毛先をクルクルと指先に絡ませて遊んでいる。
こ、コイツ、シメたい!