Ri.Night Ⅰ 【全完結】
「ククッ。お前、顔真っ赤じゃね?」
「………」
コイツ……!!
悪戯っ子の様なその表情に、今まで堪えていた堪忍袋の尾がプチンとぶち切れた。
──バシッ。
「ッテェ!」
もぅ、何コイツムカつく!
そうだよ!赤いよ!それがどうした!
煌の右手を払い落とした後、真っ赤であろう顔をフイッと背けて煌の頬っぺたを思いっきり引っ張ってやる。
「おま、離せって!」
フンッ。そう簡単に離してやるもんか。
人で散々遊びやがって!
「いぃっ゙!テメェ加減ってモン知らねぇのかよ!」
「すみませんねー。あたし馬鹿だから加減知らないの」
両頬を引いたり戻したりするあたしに対して、必死に抵抗してくる煌。
けど、今の体勢じゃあたしの方が断然有利な訳で。
「煌くんのお顔、引っ張るとデカイですねー」
「……テメェ。今すぐその面差し出せや」
「嫌だよーん」
ソファーの上で繰り広げられる男女の攻防戦。
膝枕という体勢にも関わらず、何故か取っ組み合いをしているあたし達。
最早さっきの甘ったるい空気など消え失せている。
いや、甘ったるい空気なんて最初から無かったのかもしれない。
それ程凄まじい攻防戦。
その攻防を断ち切ったのは───
──ガチャ。
突然、開いたお風呂場のドア。