Ri.Night Ⅰ 【全完結】
倉庫には十夜しかいなくて、リビングには傘下らしき人達が数人いた。
お邪魔かなっと思ってリビングには入らず、一階へと引き返す。
「凛音ちゃん、気をつけて!」
途中、あたしが階段から下りるのを見た冬吾(トウゴ)くんが慌てた様子で駆け寄ってきて。
その慌て様に思わずプッと吹き出してしまった。
「冬吾くん、落ちないから大丈夫だよ」
「何回も落ちてる凛音ちゃんに言われても説得力ないんだけど」
「……だよね~」
鋭いツッコミにエヘッと舌を出して、二人で笑い合う。
冬吾くんは鳳皇メンバーの中で特に仲の良い人で、千暁くんや勇介くんとよく一緒に居る。
年は一つ上で高二。
ちなみに同じ学校だったりする。
見た目は少し怖いけど、性格は物凄く優しくて、便りになるお兄ちゃんって感じ。
「今日、千暁くんと勇介くん居ないの?」
「あー、なんか補習らしいよ?」
「……なるほど」
二人共授業サボりまってるもんね。
「凛音ちゃんってさ……」
「うん?」
他愛もない話をしていると、急に冬吾くんに声色が一変した。
どうしたんだろうと首を傾ければ、
「……凛音ちゃん、十夜さんの事、好き?」
突然、そんな事を聞かれた。
「……へ?」
……好き?
誰が?誰を?
唐突過ぎて、疑問符しか頭に浮かばない。