Ri.Night Ⅰ 【全完結】
17.決着
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あの日から数日。
不思議な事に嫌がらせが全くない。
鞄に入っているあたしの挑戦状も出番がないまま待機中で。
そのお陰なのか、頭の中は冬吾くんが言った言葉で一杯だった。
いや、それだけじゃない。
十夜に会う度意識してしまい、どうしていいか分からない状態だったりする。
……全部冬吾くんのせいだ。
あたしは、絶対十夜を好きにならない。
ううん、違う。好きに“なれない”。
なっちゃいけないんだ。
だってあたしは貴兄の、……いや、獅鷹の総長の妹だから。
それを、あの日から何度何度も自分に言い聞かせている。
“好きになっちゃ駄目”だって。
けど、そんな思いも虚しく、何故か最近優しい十夜。
喋り方とか態度はあんまり変わらないんだけど、雰囲気が何となく優しい気がする。
……って、駄目だ駄目だ。
もう十夜の事を考えるのはやめよう。
そう決意をして、心を閉ざした。
だけどまだ心の何処かで迷いがあったのか、警戒してたのにも関わらず六時間目が始まる前、嫌がらせされた。
しかも、妃奈といる時に。
運がいい事に妃奈は誰かに押されたとは思わなかったらしく、あたしの不注意で転けたと思っていた。
妃奈が鈍感で良かった。
陽に言われたら今まで隠してきた意味がないからね。