Ri.Night Ⅰ 【全完結】
「凛音ー。帰ろーぜー。先に外、出てるからなー」
「はーい」
結局十夜達は帰って来なくて、陽にバイクで送って貰う事になった。
ルンルン気分で鞄を持ち、ソファーから立ち上がる。
──と。
「……ゲッ」
片側の持ち手しか掴んでいなかったらしく、立ち上がった瞬間、鞄の中身を全部ぶちまけてしまった。
あぁー、もう!
早く行かなきゃ陽が待ってるのに!
ぶちまけた中身を素早く鞄に入れ、急いで部屋から出る。
「陽、ごめーん!」
「じゃ帰りますか!」
この時、なんで鞄の中身をちゃんと確認しなかったのだろうか。
あたしはこの時、“あれ”を落としていた事に全く気付いていなかった。