Ri.Night Ⅰ 【全完結】
「……っ」
十夜……。
「我慢、してたんだろ?」
「………」
「気付いてやれなくて悪かった」
……っ、十夜……。
優しいその言葉に、自然と涙腺が緩んでいく。
「……お前を傷付けたのは俺達だ」
「……っ」
フルフルと頭を振れば、それを鎮めるように後頭部を手で覆われて。
そのままそっと引き寄せられる。
「悪かった」
「……っ、」
「気付いてやれなくて、ごめん」
「……ふ……っ…」
まるで呪文のように囁かれるその言葉に、我慢していたものが一気に溢れ出した。
「十夜……」
「……あぁ」
本当は、ずっと言いたかった。
でも、これは自分の喧嘩だからって強がって、全部胸の中に溜め込んでた。
「ごめんなさい……」
「……あぁ」
「黙ってて、ごめ……」
「……謝るな。悪いのは俺等の方だ」
──だから、お前が謝る必要はない。
「うぅ~……」
ポンポンと軽く背中を叩いてくれる十夜に、涙が溢れて止まらない。