Ri.Night Ⅰ 【全完結】
18.今までのこと
────…
「ん……」
目が覚めたのは、翌日の朝だった。
自分以外の温もりを感じてうっすらと目を開けると、視界に映ったのは人らしき姿。
起きたばかりの頭ではそれが誰だか分からなかったけど、意識がハッキリしてくるとそれが誰だか直ぐに分かった。
甘さを含んだ野性的な香り。
これは十夜の香水の香りだ。
隣に十夜が居る所を見ると、どうやら昨日は十夜に抱き締められたまま眠ってしまったらしい。
十夜……。
今もまだ抱き締めてくれている十夜に、言い様のない愛しさが込み上げてくる。
……あたし、やっぱり十夜の事好きになっちゃったんだ。
だって、傍に居てくれる事がこんなにも嬉しいと思っているから。
十夜の背中に腕を回して、そっと抱き締める。
すると、あたしを抱き締めていた十夜の腕に力が籠った気がして。
慌てて頭を上げた。
けど、特に変わった様子もなく。
ホッと小さく息を吐き出してから、もう一度十夜の胸元へと頬を寄せる。
あたしって案外積極的なのかもしれない。
十夜の温もりを感じながらそんな事を思っていたら、
「どうした?」
突然、頭上から声が降ってきた。