Ri.Night Ⅰ 【全完結】
「やっ、あの……ごめん」
まさか起きるとは思っていなくて、慌てて十夜の胸元から離れる。
けど。
「ちょっ、十夜!?」
十夜は離れようとするあたしの肩をが無理矢理引き寄せた。
抵抗するけれど、到底敵う筈もなく。
あたしの体の芯は再び十夜の腕の中に。
「と、十夜、起きてるの……?」
顔を上げて十夜の様子を窺うけど、目は瞑ったままで。
「……起きてる」
え?起きてるの?
それにしては表情に変化が見られないんですけど。
本当かどうか確認しようと、足で布団を蹴りながら上へと移動する。
「ちょ、ちょっと十夜!起きてないじゃん!」
目線がちょうど十夜の口元まで来た時、抱き締めている力が強くなった。
けど、目は開いていない。
「んー!」
胸元を思いっきり押すけどピクともしなくて。
か、顔!顔近いってば!
上へ上がった事を後悔した。