Ri.Night Ⅰ 【全完結】
何あれ。
あっ、もしかしてお風呂入りたかったのにあたしが長風呂したから待ちくたびれて怒ってるとか?
案外短気なのね、十夜さん。
これ以上機嫌悪くなるのも困るから後で謝っておこう。
そう決意した時、ドライヤーが止まった。
「完了ー」
「ありがとー、煌」
「んじゃーお礼に膝枕……」
「今日は狭いからしないっ!」
寝転ぼうとする煌を両手で妨げて、拒否。
「ケチッ!」
「また今度ね」
「煌、お前りっちゃんに膝枕して貰ったのかよ!?ずりー!!りっちゃん、俺も膝枕して?」
「凛音!俺も!」
ニヤッと妖艶な笑みを浮かべる彼方に、ニコニコ笑顔の陽。
「陽!!」
“来ていいよ”とでも言うように陽の方へ両手を広げると、
「凛音!!」
陽がパァァァと効果音が鳴りそうなぐらい満面の笑みで立ち上がった。
可愛い!!
なんだあの可愛い生き物は!!
可愛いすぎる!
一方、隣の彼方は「なんで陽だけ」ってブツブツ言いながら不貞腐れていた。
彼方は無視だ無視。
それよりも、陽とのハグをしなければ!
「陽ーーー!!」
と抱き締め合おうとした時、
「陽!死ぬぞ!!」
隣から悪魔の声が聞こえた。
その言葉にピタッと止まった陽。
そして。
「あっ……凛音、また今度にする」
気まずそうな顔でそう言った陽は、苦笑いしながら座ってた場所へと戻っていった。
煌のヤロウ!余計な事言いやがって!!
呪ってやる……。