Ri.Night Ⅰ 【全完結】
煌に殺意が芽生えたあたしは腹いせに思いっきり右腕を抓ってやった。
「ってぇ!!」
「馬鹿煌!!」
「お前が悪ぃんだろ!」
「なんであたしが悪いのよ!」
煌との言い合いが始まった時、ちょうど十夜がお風呂から出てきた。
十夜を見ると、上半身裸で頭の上にバスタオルという破廉恥な姿で。
この前と同じ格好なのに、何故か今日はまともに見れない。
服着てきてよ、服!
そんなあたしの心中なんて気付いてもいない十夜は、いつものようにそのままの格好で此方へ来た。
それに気付いた煌が、一人で座ってた彼方のソファーへと移動する。
えっ!?と思った時にはもう隣に十夜が座っていて、ワシャワシャと髪の毛を拭いていた。
つまり、二人掛けのソファーに一緒に座っている訳で……。
これってあたしも隣に移った方がいいんじゃないの?
そう思ったあたしは、隣に移ろうとゆっくり腰を上げた。
「此処に居ろ」
けど、十夜の阻止されて。
そのまま元居た場所に引き戻される。
いや、出来たら向こうに移りたいんですけど……。
アナタの隣にいたらドキドキし過ぎて落ち着かないんです!
……って言えるものなら言いたい。
駄目だ。
意識し出してから、十夜といると調子が狂ってしまう。
今までこんなんじゃなかったのに。
うん。取り敢えず落ち着こう。