Ri.Night Ⅰ 【全完結】

「あっ、十夜こっち来て!」


一分もしない内にドライヤーを持って部屋に入ってきた十夜を手招きして目の前に立たせる。


「うーん……」


色々な服を取り出して十夜に宛てがう。


こう見ると、十夜ってホント何でも似合うよねー。

Tシャツにジーパンでも格好良く見えるし。


羨ましい限りだよ、ホント。




数分後、色々合わせてみてやっと決まった。


後ろを向いて着替え終わるのを待つ。


「着た」


「どれどれ……っ、」


って、ヤバい!めっちゃ格好良いんですけど!


着替え終わった十夜を見て、思わず固まってしまったあたし。


だってだってだって、めっちゃ似合ってるんだもん!


とてもじゃないけど暴走族には見えない。



「と、十夜、髪の毛乾かそうか!」


何だか見ているのが恥ずかしくなってきて、いそいそと十夜から離れてドライヤーを掴んだ。


コンセントに差し込んでベッドへ上がると準備OK。


……って、あれ?なんで十夜来ないんだろう?


「十夜?乾かすよ?早く来て」


ポスポスとベッドを叩きながら十夜に目を向けると、十夜は何故か此方を見たまま突っ立っている。


一向に動こうとしない十夜に、ベッドを叩いて「早く!」と急かすと、十夜は無言でベッドに近付いてきた。

< 302 / 374 >

この作品をシェア

pagetop