Ri.Night Ⅰ 【全完結】
「十夜後ろ向いて?」
あたしの言葉に素直に従う十夜。
なんか可愛い。
いつもこんなに素直だったらいいのに。
ドライヤーのスイッチを入れて十夜の髪の毛に触れる。
やっぱサラサラ。
十夜は髪の毛染めないのかな?
顔格好いいから染めても似合うと思うんだよね。
頭の中で茶色になった十夜を想像してみたけど、何だかイメージと合わなくて直ぐに違うなと否定。
やっぱりそのままの方がいいかも。
十夜は黒のイメージが強いし、何だかんだで黒が一番似合うと思う。
「良し、完了!」
ドライヤーを片付け、ベッドに腰掛けている十夜の隣へポスンと座ると、横から十夜の顔を覗き込んだ。
「ねっ、十夜?今日は髪の毛ワックスつけないでね?」
「なんで」
「十夜のサラサラの髪の毛好きなんだよね!ね、良い?」
十夜の腕を引っ張りながらそう言うと、直ぐに「分かった」とOKが。
「やったっ!今日の十夜、格好良いから皆ビックリするね!」
そう言って立ち上がったあたしは、十夜を立たせようと掴んでいた腕を自分の方へと引っ張る。
それに合わせてスッと立ち上がった十夜は、あたしの頭にポンッと手を置いて部屋を出て行った。