Ri.Night Ⅰ 【全完結】
「な、何でって、言おうと思ったけどタイミングなくて……」
「いつでも言えただろうが」
「いや~。あの時、中田の事でみんな忙しそうだったから」
ブラックオーラにたじたじになりながら、何とか返事するものの。
……やっぱり怖い。
「忙しそうでも言えよ」
ガシガシと頭をかいて溜め息を吐く煌に、ゆっくりと俯く。
……そんなの言える訳ないじゃん。
だって、あたしの為に動き回ってくれてるんだよ?
これ以上迷惑かけたくない。
「迷惑なんかじゃねぇよ。お前に何かあってからじゃ遅いだろうが」
まるであたしの考えている事が分かっているかの様にそう言った十夜が、あたしの頭をポンッと優しく叩いた。
「……うん。ありがとう」
十夜だけじゃなく、みんなにもお礼を言う。
「あたし、最初は中田絡みだと思って皆に言おうとしたの。でもね、階段から落とされた数日後、水溜まりに落とされた時、犯人が女の子だって分かったんだよね。
嫉妬で嫌がらせされたって事はあたしに喧嘩売ってるって事でしょ?だからみんなには言わなかった。
これは“あたし”の喧嘩だと思ったから」