Ri.Night Ⅰ 【全完結】
「ちょっと待って、凛音ちゃん。今、水溜まりに“落とされた”って言わなかった?自分で転んで落ちたんじゃなかったの?」
あたしの言葉に眉を潜める壱さん。
「………」
あっちゃー、またやってしまった。
「いや、あの……すみません。嘘つきました」
右隣りに座ってる壱さんの方を向き、深々と頭を下げる。
すると、フワッと頭に手が乗せられた。
「凛音ちゃんが俺達に心配かけたくないから嘘ついたのは分かってるよ。
それに俺達も凛音ちゃんがそんな目にあってるの気付かなかったんだから。ごめんね、凛音ちゃん」
さっきまで怒っていた壱さんじゃなく、優しいような、それでいて悲しいような、そんな表情で申し訳なさそうに謝ってくれた。
「そんな……」
「そうだよ。ごめんな、凛音。俺が一番近くにいたのに気付けなかった……。ホントごめん」
陽までもが自分を責めながら謝ってくれる。
謝るのはあたしの方なのに。
何も言わなかったあたしが悪い。
皆はあたしの為に色々してくれている。
謝る必要なんて、どこにもない。